ままぱれ

数学の美しさと凄さを伝え、使える学問としての魅力を広めたい

数学の美しさと凄さを伝え、使える学問としての魅力を広めたい

中学まではともかく、高校で微分・積分や三角関数に出合って挫折した私としては、「数学が美しいってどういう先生…」と戦々恐々。
でも実にわかりやすく、学校で習う算数・数学の基にある、学問としての数学の面白さや広がりについて語ってくださいました。お子さんたちとの関わりかたも伺ってきました。

先生の研究は「数学的対象の美的性質の教授・学習方法に関する研究」とのことですが。

 数学は人類の歴史と共に発展してきているのですが、多くの数学者たちは、数学が道具として有用であるからというよりも、数学そのものに魅力を感じて研究しています。数学者たちがその魅力を表現する上で「美」という言葉があります。子どもたちが学校の数学が好きではないとか、冷たい感じがして嫌だと離れていくのはもったいないので、先人たちが感じて来た数学の魅力を、学校での学びに取り入れていけないか研究しています。そのための教材を作ったり、その実践で押さえなければならないポイントを研究して、数学の美しさを子どもたちが学べるような実践が広まればいいと思っています。

子どもの頃から算数・数学は得意だったんですか?

 特別に好きだったわけではなく、勉強も好きというより「やるものだ」くらいの感覚です。学校は好きでした。先生になりたいとずっと思っていたのは、そのことが大きいですね。
 小さい頃はSDガンダムのプラモデルを作ったり、友だちと外で遊んだり、少年野球もやっていました。本を読むのも大好きで、図書室にあった「ズッコケ三人組」シリーズを全部読みましたし、シャーロックホームズや伝記、子ども向けの恐竜などの考古学の本も読みました。今考えると危ないのですが、登下校時も歩きながら読んでしまうくらい好きでしたね。
 数学専攻を選んだのは、先生になりたい気持ちが先にあって教科を考えた時に、中学の頃に数学を周りの子に教える機会が多かったので、それがきっかけだったような気がします。

算数・数学の面白さはどういうところでしょうか。

 ひとつは、学校の教科の基になっている学問としての数学が、すごくしっかりできていることだと思います。何かを見つけて、それが正しいことを確かめるだけでは終わらず、余計なものが混ざっていないか、これまで言われてきたこととの関連、これまで分からなかったことに何か寄与するのかなどを整理していく活動がとても重要なのです。教科としての数学の背後にある、学問としての数学に触れるような学びをしていくと、その学術的な凄さや魅力的な部分が見えてくると思います。
 もうひとつは、昨今の教育界では「知識を活用しよう」ということが言われていますが、数学はまさに道具としてしっかり使えるものだということも魅力です。「こんなものを勉強して、何の役に立つの?」と言う生徒もいますが、彼らは建築物や電車の運行に数学が使われていることをちゃんと知っています。ただ、自分の生活に関係なく、問題を解決してくれないのであれば、意味がないと思ってしまうんです。最近は、その子が問題に思うことを数学を使って解決していくような教材がたくさん提案されています。

先生もままぱれ世代ですね。

 ちょうどそうですね。長女は興味がとても広く、面白そうだと思ったことはやりたがり、疑問に思ったことをいろいろ聞いてきます。何か聞かれても答えを教えるのではなく、彼女が見てわかることを説明させたり、「じゃあなぜ、これと比べて違うのかな」など聞いて考えさせます。答えを出してしまったら、そこでおしまいになってつまらないし、彼女の持っている興味や関心が、そこで頭打ちにならないように心がけています。
 息子は典型的なわんぱくな男の子ですが、最近は姉の影響を受けて質問してくるようになりました。でも興味はもっぱら車やウルトラマン。私自身もそういう子どもだったので、一緒にウルトラマンの映画を観に行ったり、車の名前を覚えたりしています。どう成長してくれるのか、すごく楽しみですね。

前期はすべてオンライン授業だったわけですが。

 会議もオンラインになって、それをきっかけにZoomやGoogle Meetを使いこなして、疎遠になっていた人が連絡をくれたり、あまり会う機会のなかった人と会えたり、それはポジティブな面として良かったと思っています。
 授業では、技術的なことや知識を伝えることは今のICTや機器の環境でできるのですが、しっかりと考えて討論するようなことは、やはり対面でないとニュアンスが上手く伝わらないということがありました。学生同士もお互いの交流がないので、話し合いがやりにくかったようです。本来ならゼミの後は、ご飯を食べに行ったり飲みに行ったりするわけですが、そういうざっくばらんな場で学べることもあると思います。教育は価値観が大事なので、子どもたちをどう育てるかなど哲学的な話もします。だから学生と近い距離で話す機会が限られているのは残念ですね。
 オンライン授業の準備も大変でした。翌日の授業のために、子どもを寝かしつけてから大学に来て、音声を録音することもありました。夜に私がいないと、大学のある青葉山に熊が出ることを知っている息子は、大学で私が熊に食べられるんじゃないかと心配していたみたいです(笑)。

ままぱれ読者にアドバイスをお願いします。

 今の算数の教科書には、生活の場面の挿絵があります。身の回りにあるものをわかりやすくすることに、学びの入り口があるんです。最初にやるのは「数を数える」ことや足し算だと思いますが、ご家庭でも気をつけていただけるといいと思います。そうした体験があると、具体的なものが想像できて、学校でも学び やすくなるのではないかと思います。
 うちでよくあるのが、リンゴや柿をむいた時に、子どもから何個にむいたか聞かれるんです。自分が何個食べられるかを知りたいんですよね。「8個に割ったよ。何個ずつ食べられるの?」と聞くんですが、それはもう割り算の素地のようなものです。「10個だよ。どう分けるの?」とか、わざと余りが出るように切ったりもします。数や形は身の周りに本当にたくさんあるので、それをお子さんに問いかけたり一緒に考えたりすると、小学校での学びはやりやすくなるかなと思っています。

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