ままぱれ

暮らしを便利にするために、困難を乗り越えるために、プログラミングを学ぼう!

暮らしを便利にするために、困難を乗り越えるために、プログラミングを学ぼう!

ショッピングモールのチラシを見ていたら、ゲームプログラミングを自分で作るという、あるゲーム機の新作ソフトが載っていました。
プログラミングと聞くと何かすごく難しいものに思えますが、おうちの中を見回すとパソコンだけでなく身近なものにいろいろ使われているようです。

岡本恭介先生

これから求められる「情報活用能力」をしっかり身に付けてもらい、新しい時代の子どもたちを育てられるような教員を育てていきたいと思います。


岡本  恭介 先生

宮城教育大学にて情報数理専攻、岩手県立大学ソフトウェア情報学研究科博士前期課程修了。明成高等学校、常盤木学園高等学校、東北学院榴ケ岡高等学校、東北学院中学校・高等学校などで情報科の指導にあたる。2021年4月から宮城教育大学 教科教育学域(情報科教育)講師。仙台市出身。

先生のご専門を教えてください。

 教育工学やインストラクショナル・デザイン(学習における効果を最大化するための設計や実践をすること)が研究分野で、その中で情報教育やプログラミング教育実践をしています。良い教育や授業は、これまではベテランの先生の経験則や独自の考え方が重要視されがちでしたが、科学的にきちんと分析して、良い教育や授業の理論や法則をまとめるのが、この研究分野です。情報教育やプログラミング教育もこれから重要になっており、教員の現場を知っている立場からも何か貢献したいと思い、宮教大に戻ってきました。
 小学校は昨年度、中学校は今年度、そして高校は来年度に学習指導要領が変わり、プログラミング教育が結構大きく入ってきます。「何だか難しそうだな」と感じるかもしれませんが、高校ぐらいまでは国語や音楽のようにあくまで素養のひとつです。自分の将来の方向性を決める上で重要なツールであり、世の中の様々なものがプログラミングで動いている時代ですので、「プログラミング的思考」と言われる、プログラミングでものが動く仕組みや考え方を、ある程度知っておく必要があるということです。専門的に身に付けるというよりは、根本的な考え方やできることを増やしてあげたいと考え、指導してきました。

子どもの頃からこの分野に興味があったのですか?

挿絵01 教育工学が専門になったのは、大学院に行ってからです。高校の頃は、何か理系教科に強くなっておきたいと思っていました。それで数学を学びたいと思い、宮教大の情報数理専攻という、コンピュータと数学を学ぶところに入りました。そこで教育にコンピュータをどう使うか研究する、教育工学分野の先生に出会いました。それから岩手県立大学の大学院に進み、ソフトウェア情報学研究科で情報について学びました。ちなみに当時の岩手県立大学では、東北大学の総長だった西澤潤一先生が学長でした。
 私たちの学問分野では、授業や学習を良くするためにはICT(情報通信技術)は絶対必要だというスタンスをとってきました。現在は、宮教大で高校の情報の教科担当の先生方と組んで、プログラミング教材などを用意し、その教育効果や子どもたちの反応などを研究しています。来年度からは高校で指導する中身も大きく変わってきますが、情報の教科担当の先生の人材不足や専門性でも課題があるので、オンラインなどを介して大学と連携し、先生にも学んでもらいつつ、子どもたちへのアプローチも工夫して先生の負担を軽くできないかと考えています。

小学校のプログラミング学習ではどんなことを教えているのですか?

 小学校ではプログラミングは教科化されていないので、どの教科に入れるかはそれぞれの学校で決めています。それほど高度なことではなく、画面上でブロックを繋ぎ合わせて何かを動かしたり、ボールのようなものをタブレットから命令を出して動かしたりなどの簡単なことです。算数で図形を書くときに、繰り返しを何回もする動きを使って四角形を書いたり、理科だと光センサーを使った実験なども行います。今は暮らしの中にも浸透してきているので、「家の中にコンピュータはいくつあるかな?」という設問で、自分の身の回りにプログラミングがあることへの気づきが、まずはスタートになる感じですね。
 聞いた話ですが、海外の研究者から、日本は比較的コンピュータ教育が進んでいるものと思われていたのに、実際には全然そうではなく、失笑を買うような状態になっているそうです。ですから今回ようやく学習指導要領にプログラミング教育が入り、今後どんどんそれを進めていく必要があります。

これから取り組んでいきたいことを教えてください。

 研究や大学に関しては、学生の力を育てることですね。教員は大変な部分や苦しい立場もありますが、先日見た職業の人気投票で上位に入っていました。やはり子どもたちにとって身近な存在であるし、先生方が一生懸命に職務につとめているところを見ていて、子どもたちの憧れの職業になっているのかなと思います。特に近年「情報活用能力」の必要性も言われていますので、それらをしっかり身に付けて、新しい時代の子どもたちを育てられるような教員を育てていきたいと思います。
 また個人的には、高校の頃から国際交流が好きで、交換留学に行ったりしていました。宮教大に通っていた学生時代に「日本の芸能」の講義を受けたり、さんさ踊りを学んだりしたことで、大学院時代に盛岡でさんさパレードに出たり、アメリカに行った時も向こうの先生のホームパーティーで披露したりしました。今はコロナがあってなかなか難しいですが、そういった国際交流にも取り組んでいきたいですね。
 それと、うちは中1の娘と小2の息子がいて、妻も小学校の先生なのですが、いつの頃からか役割分担ができていて、基本的に料理は僕が担当しているので、それをパワーアップさせたいですね。

ままぱれ読者にアドバイスをお願いします。

 お子さんと一緒に楽しめるプログラミングのツールとしては、「ビスケット」という面白い動きをするアプリがあります。また結構有名なものだと「スクラッチ」、ウェブサイト上だと「アワー・オブ・コード」などがあります。「スクラッチ」は自分で何かを作っていく感じですが、「アワー・オブ・コード」は順番に構成されており、キャラクターをブロックで動かすようなものもあるので、なかなか面白いと思います。
 YouTubeを学習に活用するというのもありかと思います。YouTubeというと教育的には悪者になりがちですが、教育系コンテンツも数多くあるので、一緒に調べたり探してみてはいかがでしょうか。学校だと、お子さんによってはその教科の先生との相性があったり、わからない部分を改めて聞きに行くというのも結構大変だったりするかもしれません。そういった部分は、YouTubeで改善できることもあると思います。復習などの学習に使えるコンテンツをお子さんと一緒に探してあげることが、お子さんとのコミュニケーションの手段にもなると思います。

掲載年月/2021.09

  

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