ままぱれ

保育園ではできていることを、家では自分でやろうとしません

もうすぐ3歳になるうちの娘は、保育園ではみんなと同じようにできていると先生が連絡くださることを、家では全く自分でしようとしません。
できないわけではないはずなのに、どうしたら家でも意欲的になってくれるでしょうか。
声がけの仕方や促しかたなど教えてください。

保育園では出来ていることを、家では自分でやろうとしません



 お子さんが保育園に通っておられるのですね。先生から保育園の様子を教えていただいているとのこと、かつて、そのような連絡をうけ、家族の前で見せる姿との違いを感じ、嬉しくなったり、不安になったりしていたことを思い出しました。

 さて、質問にある内容を拝見すると、お子さんは、保育園では意欲的なのに家では意欲的ではないという状況なのですね。お子さんへの声がけを考える前に、なぜ場によって意欲や行動が異なるのかという理由を考えてみました。そうしたところ、3歳という年齢の特徴も相まって「自分でやろうとしない」理由がいくつか思い浮かびました。

 まず一つ目としては、まだまだ「自我の芽生え」の続きの時期であるということです。特に3歳になると、自分はこうしたい、こういうのはいやだ、と主張したり、それに沿って行動する力がついてきます。それゆえ、お子さん同士の関わりの中でも大人があいだに入って調整が必要だったり、大人が期待する内容とは違う反応をしてみたりということが増えてきていることが想像されます。

 つぎに二つ目として、お子さんにとって、保育園などの集団の場がもつ意味が、家での行動に関係している可能性があるということです。たとえば、保育園にはたくさんの子どもたちと保育士さんなどの大人がいますね。3歳児クラスですと、おそらく、みんなで一緒に過ごすためのルールが存在し、それに沿った行動を求められることが増えます。先にお示ししたようなお友だちどうしの関わりもより複雑なものになるでしょう。いろいろな人と一緒に過ごすという体験は、楽しい、嬉しいと感じることも多いのですが、どうしても気が張っていたり、疲れたりということもでてきそうです。お子さんにとって、家族が安心できる存在であればあるほど、家では集団の中での緊張から解き放たれ、自分自身の思うままに過ごすことが増えるのかもしれません。また、保育園に存在する「みんなの力」もとても大きいように思います。保育園生活の中で、同じクラスのお子さんがやっている様子を目にする、みんなで一緒に取り組む機会があるなどをきっかけに、自分も取り組んでみたくなったり、意識せずとも自然とできるようになってみたり、ということがたくさんありますね。

 これらのことを踏まえても、質問にあるような家でのお子さんの様子は、ある意味とても自然で、ご家族をとても信頼しているのだろうなと思える内容でした。私からの提案としては、これからも、そのような素の自分でいられる時間と空間を大切にしていくこと、「保育園ではできている」と聞いた時には、親として嬉しくなった気持ちをお子さんに伝えること、が思い浮かびました。

 これまでの子育てを振り返ると、子どもが小学生になっても中学生になっても「学校ではできているのに家ではやろうとしない」ということがたくさんあったことが思い出されます。その都度、もやもやし、どうしたらいいものかと思っては、あれこれ試してみたこともありました。でも、あまりうまくいったことはなかったですね。その過程の中で感じたのは、家の外で子どもがよその人に見せている姿を信頼できるようになると、親からの声がけが変わり、子どもも変わっていくのかもしれないということです。そうすると、より子育てを楽しむことができるようにもなるのだろうなと最近は思っているところです。


アドバイスをいただいたのは…
下山田 鮎美 先生

山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。現東北福祉大学健康科学部准教授。
2児の母であり、当事者としての視点を大切にしながら子育て支援の活動を行っている。博士(都市科学)。



  

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