ままぱれ

ものづくりの楽しさが育む、不思議や驚きの種と出会おう。

ものづくりの楽しさが育む、不思議や驚きの種と出会おう。

日本でいえば、江戸時代に製作されたお茶を運ぶからくり人形。
古田先生と学生たちの研究室には、そんな玩具(おもちゃ)がたくさん並んでいました。
どうしてこんなふうに動くの?と、子どもでなくても興味津々。
「ワークショップを開催してほしい」という学校や幼稚園があったら、古田先生はすぐにでも飛んでいきたいそうです。


先生の授業・研究について教えてください。

手作りキット

 専門はエネルギー変換の機械分野で、機械の中の機構(歯車やエンジンなどが互いに関連して動作する仕組み)についてですが、そのほかにも様々な研究をしていたので、材料力学や工業力学も専門です。静岡大学の総合科学教育専攻は、研究力をつけることに力を入れており、私も大学1年生の時から配属された松永研究室で9年間学んできました。大学で実験や教材開発をするだけでなく、学校現場で授業をさせていただき、ものづくりをどう教育に落とし込んでいくかも研究していました。
 宮城教育大学の授業でも機械の仕組みや教材開発について教えています。実践的に学んでほしいので実物に触れてもらったり、ものづくりもどんどんしてもらうようにしています。私の専門は機械ですが、メカのような硬質なものではなかなか面白さが伝わらないので、もう少し噛み砕いた形で玩具を研究し、木の温かみが感じられるような教材・玩具を作っています。


どんな玩具を研究されているのでしょうか。

 大学1年生の時からずっと研究してきたのが、紙だけでできていて何も入っていないけれど、坂道に置くと歩く玩具です(紙製4足受動歩行模型)。「何も入っていない」という不思議さがあると、子どもたちはとても興味を示すので、不思議でありながら、それでいて科学的な内容も含む玩具を研究しています。また海の上をいく海賊船は、一本の動く軸に様々な部品を付けることで上下や回転などの動きを作り出せる面白さがあります。これだけでも子どもたちは惹きつけられます。1枚板からレーザー加工機を使って切り出した部品を組み立てたイルカの玩具や、動きを紹介する動画を研究室のYouTubeにアップしてありますので、そちらもご覧ください。
 宮城教育大学に赴任し、ほかの分野の先生とお会いすることが結構あるので、今年は音楽、国語、数学の先生と共同研究させていただいています。ものづくりが加わることで、それぞれの教科がより良いものになって、学習が深まるのではないかと思いながら研究させていただいています。

動画はこちら
● 静岡大学  松永研究室 [YouTubeはこちら]
● 宮城教育大学  古田研究室 [YouTubeはこちら]

先生の作品と動画


子どもの頃からものづくりが好きだったのですか?

女の子の育成

 とても好きでした。TV番組「関口宏の東京フレンドパークⅡ」のアトラクションなどを見て、いかにして1枚の紙やダンボールから面白いものを作るかを考えていました。母も作ることが好きだったので、一緒に裁縫などをしたりと、ものづくりに触れる機会が多かったと思います。小中高と進むうちに機会が減りましたが、大学でものづくりの面白さと再会してどっぷりとハマってしまいました。今の中学校の技術は1・2年生は週一ですが、3年になると隔週なので、ものづくりを楽しむ時間もかなり限られてしまっています。
 時代と共に遊び方自体がゲームなどに変わってきているせいもあり、最近の子どもたちはものづくりの経験が少ないと感じています。学生たちを見ていても、「上手く作れない」、「思うように体を使えない」ということがあるので、小さい時からものづくりの経験をさせてあげたいと思っています。
 また、中学校の技術の女性教員は増えてきていますが、大学ではまだまだ少ない現状です。そうするとどうしても男性目線の教材が多くなってしまいます。女の子も興味を持つ教材を増やすのも課題のひとつと思っています。


これまでずっと静岡にお住まいでしたが、仙台での暮らしはいかがですか?

 とても暮らしやすい環境です。これまでなかなか東北に来る機会がなかったのですが、とてもいいところです。ご飯も美味しいし、学生たちも熱心で楽しいです。私の研究室には学生が7人いるのですが、学生も頑張ってくれるので、一緒になって学生部屋で研究しています。学生たちは7月から本格的に研究に取り組んでいて、まだそんなに期間は経っていませんが、研究の進み具合も非常に良いので、学会発表にも挑戦してもらいました。大学3年生の時から後輩の指導を任されてきたので、その経験が役に立っています。今度は私が学生たちにものづくりの楽しさ、研究の面白さを伝えて、あわよくばいい研究者を輩出することができればと感じています。
  趣味でボウリングをしており、国体にも2度出場しました。三重国体がコロナで中止にならなければ3度だったのですが。父がボウリングブームの世代なので、その影響で13歳から始めました。仙台でも団体に属して頑張っています。基本的に負けず嫌いなので、やり始めたらとことんやりたい性格です。


ままぱれ読者にアドバイスをお願いします。

子どもとてづくりおもちゃ

 子どもたちにとって遊びというのは成長する原動力になっていて、幼稚園の時は遊び中心で生活が回っています。純粋に「楽しい」と感じられるもの、不思議さや驚きを感じられるものがあったら、自分から興味を持って取り組むようになると思います。そしてこういった教材を組み立ててみると、「これなら自分でも作れる」「自分だったらこういうふうに改良する」というように、自ら探究する方向に進んでいくと思います。「研究力がとても大事」と社会的にも言われているので、そういった力を遊びを通して、子どもたちに豊かに育んでもらいたいと思っています。子どもたちの創造力や研究力を育てるような教材や玩具に、多く出会わせてあげたいですね。




今回の先生

古田 このみ 先生

静岡大学教育学部総合科学教育専攻卒業、同大学大学院教育学研究科修士課程、後期博士課程修了。2023年4月に宮城教育大学に赴任し、技術教育講座で講師を務める。機械技術入門・応用、技術科教育実践研究などの授業を担当。
インタビューを受ける先生の後ろの棚にも手作りの玩具(おもちゃ)がいっぱい。
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純粋に「楽しい」と感じられるもの、不思議さや驚きを感じられるものがあったら、自分から興味を持って取り組むようになると思います。
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掲載年月/2024.01

  

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