ままぱれ

子どもが「学校に行きたくない」と言ったら

子どもが「学校に行きたくない」と言ったら

言語化できなくても、お子さんにはお子さんなりの理由があるし、学校や家ではない、自分の居場所があるのかもしれません。
お子さんとご家族が孤立して悩むことのないように、元ままぱれ特派員の武山さんに、ママさんたちの疑問も含めてお話を伺いました。

参加した特派員
石川 沙織さん、梅田 裕美さん、熊谷 明日香さん、小泉 理惠さん、三戸 千明さん、藤原 和江さん、舛田 麻美さん、山本 史美子さん(Zoom組、現地組含む)

武山理恵さん

お話を伺ったのは
ふとうこうカフェinせんだいみやぎ

代表理事 武山  理恵 さん


元ままぱれ特派員。ご自身の不登校の経験と、宮城教育大学での障害児教育や心理学の学びを活かし、ふとうこうカフェinせんだいみやぎで子どもの居場所づくりの活動を行っています。中1男子と小2女子のママ。

ふとうこうカフェinせんだいみやぎ とは

不登校・ホームスクーラーの子どもたちと保護者、不登校経験者、フリースクールや学校関係者など、様々な人と人、そして情報をつなげるための場。子どもたちがのびのびと育つこと、孤立した親子がゼロになることを願い、仙台市・村田町ほか宮城県南部を拠点に活動中。

不登校などの支援をしている団体

● ふとうこうカフェinせんだいみやぎ
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● 多様な学びを共につくる・みやぎネットワーク(みやネット)
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● 登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク
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不登校経験者として情報共有の場を立ち上げ

 私は中学2年生と高校1年生の時に、不登校と保健室登校を経験しました。学校に行かないことをなぜ親や学校、社会から責められなければならないのか悩み、違う方向から教育を見たいと考え、宮城教育大学で障害児教育を専攻しました。その時に宮城県で不登校経験者や当事者が集まる全国大会があり、フリースクールやホームスクーリング、海外での不登校の事例を知り、私が悪かったのではなく、日本特有の子どもが追い詰められやすい仕組みがあるとわかり、とても救われた気持ちになりました。
挿絵01 自分が親になってからは、子育て講座を主催し、参加者のお母さん方から不登校の悩みを相談されるようになりました。「ふとうこうのお話会」を開いて私の体験談を話し、その後のランチ会がお母さん同士の情報共有の場になりました。当事者のお母さん同士で継続的に話せる場が大事だと気づき、それが「親の会」の開催に繋がりました。2019年には「ふとうこうカフェinせんだいみやぎ」という団体を立ち上げ、今は子ども食堂フリースクールの活動も行っています。

不登校の「不」を笑顔のイメージに。

 「ふとうこうカフェ」は「親の会」兼交流会で、情報や人を繋げる場所です。第1土曜日は仙南地域、第3土曜日に仙台で開催しています。ここ数ヶ月は、仙臺緑彩館のカフェ、noaddress(ノーアドレス)で開催していました。
子どもの居場所づくりも必要だと思い、2020年からコロナ期間中の遊び場の支援と子ども食堂「ふふふはうす(ふふふ子ども食堂)」を開始。仙台市太白区砂押町で第2・4水曜日の日中から始め、みんなでご飯を食べて帰ります。「ふふふ」という名前は、不登校の「不」の字には嫌なイメージがあるので、[フ]レンド、[フ]ァミリー、[フ]リースクールの「ふ」や、笑顔のイメージで付けました。
 2021年から、仙台の街なかでフリースクール「ふふふる~む」を月・木曜日の10~16時に開催中です。こういう場所は徐々に増えつつありますが、仙台でもまだ少ないため、ネットで検索したり、「親の会」のホームページを見て来てくださる方が多いです。

小学1年生の息子がすごく繊細で、毎日教室まで付き添い登校しています。

 ひとりで悩まず、お子さんに合った方法や居場所を選べると知っていただけば、お母さん方も追い詰められないで済むかなと。私が不登校の時は、私のロールモデルとなる女性のカウンセラーと出会い、その方のご自宅の塾に通いました。その場所が私の生きる糧になり、素晴らしい第三者と出会うことの大切さを身をもって痛感しました。

挿絵02

挿絵03そもそも
不登校とは…

 日本の定義では、不登校は「年間30日以上欠席した者」とされていますが、病気や経済的な理由があればこれに該当しません。また、保健室登校やクラスにいる時間が1時間だけの場合も不登校とみなされないため、不登校の人数を気にする学校では「校門にタッチするだけで出席扱い」という、子どもには何のメリットもない悪習がありました。2017年には一人ひとりに合った学びの場を保障する教育機会確保法が施行され、2019年には文科省から、不登校児童生徒への支援は学校に通わせるだけでなく、社会的な自立を目指すことだと通知されました。「不登校は問題行動ではない」という大きな方向転換です。教育機会確保法では、子どもの休養の必要性、学校以外の学びの場の大切さ、人々が連携し、子どもや親に必要な情報を提供することなどが謳われています。

挿絵04※文科省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知)」平成28年12月22日

息子が小学校の時に友人関係で行き渋ったので、「国民の三大義務なんだから行きなさい」と言って、なんとか通わせたことがあります。

 よく「小・中学校は義務教育だから行かなければいけない」と言われますが、憲法上の義務教育は「保護者が子どもに教育を受けさせる義務」で、子ども本人に義務はありません。子どもには「教育を受ける権利」がありますが「場所が学校でなければならない」とは言及されていないのです。学校に行くことがすべてではないし、学びたいと思ったらいつからでも学べます。しんどいのに学校に通わされている子は自己肯定感が下がり、自信もつかず、自分がやりたいこともわからなくなってしまうと思います。社会に溶け込んでいるたくさんの不登校経験者と出会う場が必要なのです。

子どもが「学校に行きたくない」と言い出したらどうする?

 親子の信頼関係ができているからこそ、親に直接「学校に行きたくない」と相談できるはず。信頼していないと言えないので、そこは前向きに捉えてください。唯一安心できる場所であるはずの家ですら自分を責める雰囲気になると、部屋に籠ってしまったり親との関係をも断絶させることになりかねません。まずは話を聞くこと。解決できる悩みや困りごとは一緒に考え、学校と交渉したり、それでも難しければフリースクールなど別の選択肢を探しましょう。年齢が低いと自分の感情を言語化できず「なんか嫌」「行きたくない」しか言えないかもしれませんが、それはそれで受け止めてあげてください。

フリースクールで学校と同じような単位は得られるの?就職のことを考えると、ちゃんと卒業していないと心配です。

 挿絵05「今」学校に行くかではなく、「将来」どういう大人になってほしいか、子育てのゴールはどこかを考え、信頼関係を壊さない対応をしてほしいです。個人的には、子どもの精神的な自立を促し、自分で自分を幸せにできる力を身につける手伝いをするのが、親を含め、大人全体の役目だと思っています。
 「家に籠っていたら社会性が育たないのでは?」という声もありますが、家族関係が良ければ社会性は育ちます。自分は大切にされていると感じていれば、いつかそれを社会に返し、貢献しようというモチベーションも生まれてきます。

不登校に対して、夫の両親が良くないイメージを持っています。

挿絵06 子どもの祖父母(私たちの親世代)も不登校に対して理解を示す人がだいぶ増えてきました。もし専門家の言葉などを借りて説明し、それでも理解されなければ祖父母と距離を取ることも必要かもしれません。

年長の娘が保育園に行きたがらず、自分が休職した時期もありました。寄り添い方や理由の聞き出し方を知っていたら、私もそこまで苦しまずに済んだかも。

 小・中学校は1日も通学しなくても卒業とみなされますが、高校入試の時に内申書などで選択肢が狭まってしまう可能性があります。しかし、広島県では出席日数が高校入試に響かないようになってきているため、今後、全国的にも変わっていくかもしれません。
 挿絵07学校の中にやりたいこと、興味のあることがなくても、ほかの場所で様々な大人と出会うことでやりたいことが見つかれば、それに向かっていけると思います。子どもが不登校になるとお母さんも孤立しがちですが、「親の会」などで仲間と繋がって視野を広げ、前向きに捉えられるようになってほしいです。

  

今回の会場は…
青葉山公園 仙臺緑彩館

雨でも安心!屋内ホールで思いっきり遊べる
親子で一緒に音楽に合わせて体を動かしたり、リズム遊びを通して発達の土台をつくる「発達リズムあそび教室」を月2回、火曜日に開いています。その前後の日程で屋内ホールも開放。雨でも気温が高い日も安心です。

発達リズムあそび教室
7/9、7/30、8/27、9/10、9/24

※ホールの開放日はインスタグラムをご確認ください。


住所|仙台市青葉区川内追廻無番
電話|022-266-1651
営業時間|9:00〜19:00
(12〜2月は9:00〜17:00)
定休日|3・6・9・12月の第1月曜日、年末年始
駐車場|234台(うち4台は優先スペース)
※有料
HP|https://parks-aobayama.jp/


挿絵08

掲載年月/2024.07

  

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