ままぱれ

里親制度は子どもたちの健やかな育ちの応援団!

里親制度は子どもたちの健やかな育ちの応援団!

「里親」は養子縁組と思われがち。
でも、実は違うんです。様々な事情で家族と離れて過ごす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育するのが里親制度です。子どもの状況によって迎える期間は様々です。
今回は養育里親をされている方からお話を伺いました。あなたも応援団になりませんか?

里親経験者の方々

参加した特派員 石川沙織さん、梅田裕美さん、小泉理惠さん、佐藤美咲さん、三戸千明さん、藤原和江さん、舛田麻美さん(Zoom組、現地組含む)

みやぎ里親支援センター けやき とは

2017年1月より宮城県の委託事業として始まり、2024年4月からは新たに第2種社会福祉事業となった里親支援センターです。仙台市を含む宮城県全域で里親制度等普及促進・リクルート業務、里親等研修・トレーニング業務、里親等委託推進業務、里親等養育支援業務、里親等委託児童自立支援業務を行い、里親家庭への支援を通して、子どもの育ちと自立を応援しています。
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今回の会場は東北地方ESD活動支援センター
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まずは多くの養育経験を持つ早坂さんのお話を伺いました。

里子を迎えるってどんな感じ?

早坂さん 私は加美町で約20年養育里親をさせていただいております。若い頃、保育士の勉強中に児童養護施設実習を通して里親を知り、自分が家庭を持ったら「こういう子どもたちが遊びに来れる場所を作りたい」と思いました。40歳を超えた時「今しないと時間がない」と思い、自宅の管轄の児童相談所から里親のパンフレットをもらい研修を受け、里親登録しました。
 最初の10年は、週末や夏休みなどの長期の休みに家庭に迎え入れる「ふれあい里親(家庭生活体験事業)」としてお子さんを預かりました。そして私が55歳になる頃に小学1年生になる男の子を長期で迎え、今、その子は高校3年生になりました。また、10歳で迎えた女の子も高校2年生のイマドキ女子となり、楽しい時間を過ごさせてもらっています。私には実子が2人、孫も3人おり、次女も里親登録して、私たちのサポートをしてくれています。
 児童相談所を通して施設から預かったり、委託一時保護という急な事情で受け入れたりと様々な子を預かっています。大変な思いをした子ばかりですが、ほっとできる時間とご飯、温かいお布団があると2日くらいで馴染んでくれます。ですが、同時に、急に知らないところに連れて来られる心の痛みもとても伝わってきます。様々な事情を持つ子どもたちを柔らかく包んでくれる里親さんがもっと増えてくださればいいなと思います。

  

何かあっても周囲の助けがあるから大丈夫。

特派員01 様々な大人の事情により、産院から乳児院、そして施設へと移り、そこから里親のもとに行くような出会いと別れを繰り返す子の中には、直感的に「これは言わないほうがいい」と遠慮してしまう子がいることも、今では肌で感じ取れるようになりました。里親が気づいてあげられないと、心を開いてくれるまで時間がかかったり、本当は甘えたいのに方法がわからず暴れていたりします。慣れたら慣れたで私たちの想像を超えることをやらかしてくれます(笑)。私たちはこれを「お試し行動」と呼んでいます。 里親になる前に児童相談所に通い、研修でそういう行動もあると伺っていたため、実際にその行動に直面しても余裕を持って対応できましたし、その子の本質が見えて愛しくてたまらなくなります。里子と何度ぶつかっても里親会の仲間やけやきさんがその都度話を聴き、フォローしてくれるので、お互いに馴染んでいけます。
  里親会では勉強会をしたり、そこでしか話せない会話もでき、また、 ほかのご家庭の話を聞くことで気持ちに余裕を持てるようになり、里子との関係も安定していきます。また里親同士が守秘義務を理解した上で信頼関係を築いていると、 「里親レスパイト・ケア」といって、何かあった時は里親同士でお子さんを預かったりもできます。子育ては横の繋がりで成り立っていますよね。そこに里子も入れていただけると嬉しいです。

  

QA見出し

  • 里親は何歳くらいまでできるものでしょうか。

早坂さんアイコン 特に年齢制限はありません。私は66歳なので、年齢的にも、今預かっている子が自立したら、あとはショートステイ里親へ移行するつもりです。自分に何かあっても、管轄の児童相談所に連絡すれば、対応してくれるので安心ですよ。

卜蔵さんアイコン 里親に新しく登録される方は、不妊治療を経て子どもに恵まれなかった40代くらいのご夫婦が約半数。最近増えているのは、小さいお子さんがいる30代から40代くらいの若い世代が1/4くらいで、あとの1/4は自分の子育てが終わった50~60代のご夫婦が、子どもたちの応援をしたい、社会に恩返しをしたいと登録されています。
 長期は難しいという方でも、ご自分に合った里親としての役割、子どもの応援方法がある、今はそういう時代になっています。

養子縁組だけでなく、短期でも里親はできます!


特派員02

家庭生活体験事業
児童養護施設で生活する子どもを夏休みや冬休みに1週間程度養育すること

委託一時保護
保護された児童を一時的に預かって養育すること

ショートステイ里親
何らかの理由で保護者が子どもを養育できない短期間だけ預かること

  

  • 経済的な負担はありますか?

卜蔵さんアイコン 正式に児童相談所からお子さんを預かる際、一般生活費と里親手当が支給されます。必要に応じて教育にかかる費用と医療費も支給されるため、里親が負担する必要はありません。里親養育への支援、子どもたちの自立に向けての支援も年々手厚くなっています。

  

  • 実子を育てている時と里子さんを育てている時で、何か違いはありましたか?

早坂さんアイコン 特にありません。実子の時も夫は「小さい時から子ども扱いするのでなく、1対1の人間として接する」という考えがあり、むしろ実子に対してのほうが厳しかったかもしれません。祖父母も実子・里子区別なく接してくれたので感謝しています。

  

  • 今は共働きの家庭が多いと思うのですが、それでも大丈夫でしょうか。

卜蔵さんアイコン 大丈夫です。市区町村の子育て支援サービスも一般家庭と同じように使えます。育休だって使えます。
 里親だからと特別なことが求められるわけではありません。多様化する家族・家庭の一つの形と思っていただけるといいです。

  

  • 突然知らない子(里子)が来て、周囲から驚かれたりしませんか?

早坂さんアイコン特派員03 我が家では長期の子を預かる前に学校やご近所、子ども会、PTAにお知らせし、集団登校などで「どこの子?」という言葉をかけられないようにしました。子どもを守るため、事前の情報共有も大切です。自分が周囲と上手く繋がっていると色々な意味で助けてもらえるので、ご近所付き合いやコミュニティは大事にしましょう。子どもの友だちの親御さんとも繋がっておけば、里親宅とは違う姿を見せても、里子の理解が深められます。一般的なママ友さんとの繋がりと一緒ですね。

  

話を聞いて見出し

特派員04
  • 里親というと養子縁組のイメージしかなかったのですが、色々な預かり方があると知り、自分の子どもが手を離れたらうちもできるかもと、少し気持ちが動いています。
  • 「何かしら子どもたちの支援をしたい」という気持ちは以前からあったので、今日はありがたいきっかけづくりになりました。里子ということは隠すという古いイメージを持っていましたが、情報をオープンにしたほうが子どもも助かるとわかりました。里親制度が自然で当たり前なことなんだともっと社会に広まってほしいですね。保育士の資格を持つ方などにこういう情報を繋げられたら、「私もしてみよう」と考える方が出てくるかもしれません。
  • 私は子どもが6人いて、上の3人は養子縁組で夫の籍に入っているのですが、分け隔てなく本気でぶつかる夫を見ていると、血の繋がりは関係ないんだなと感じます。夫となら一緒に里親登録するのもいいのかなと、お話を聞いて思いました。
  • 支援するほうもされるほうも、想像よりずっと気軽にできることを皆さんにもっと知ってもらえたらと思います。

  

子育てはみんな同じ、社会全体で!
〜本日のまとめ〜

太田さんアイコン パンフレットやHPなどでも知ることはできますが、今日集まって、直接お話しさせていただいたことで、とても血の通った意義のあるものになりました。ありがとうございました。


卜蔵さんアイコン卜蔵さん 私が預かっていた子どもたちはもうすっかり大人になりました。時々帰って来ては、子どもの時とはまた違う親子としての繋がりを密接に感じ、続けてきて良かったなと実感します。子どもからたくさんのものをもらって豊かな人生を送らせてもらっています。
 本来は、親と子どもが分離せずに一緒に生活できることが一番なのは言うまでもありません。現実には、いろいろな理由で里親家庭や施設が必要となる子どもが少なからずいるわけです。もっと何か支援があれば一緒に暮らせたのに、ということもあると思いますし、そこは社会全体の課題とも言えますね。里親制度は、実家庭に次ぐベターを子どもに提供する制度です。短期間での預かりから長期までといういろいろな支援の形があります。今日のこうした機会に里親制度への理解を深めていただけたらうれしいです。今日はありがとうございました。

ドキュメンタリー映画『REALVOICE』上映&トークセッションに参加しませんか?
太田さん

趣旨|児童相談所に寄せられる虐待相談件数は、全国で年間20万件以上。これは、平成11年の約19倍にも上ります。また、児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもたちの6割程度が、被虐待を経験していると言われています。私たち大人がこうした子どもたちの自立とその先の人生を考えるとき、その当事者の声を聴き、まずはしっかりと受け止めることが何よりも大切なことなのではないでしょうか。本企画は、映画上映を通して、広く一般市民の方々とともに、多くの当事者のリアルボイスに耳を傾け、気持ちを寄せあい、里親制度の普及促進をはじめとした、より良い共生社会への一歩にと、企画するものです。

  

日時|令和6年9月14日(土) 13:00~16:00(受付12:30~)
会場|仙台市子育てふれあいプラザ 「のびすく泉中央ホール」(仙台市泉区泉中央1丁目8-6 仙台市泉図書館4階)
定員|200席
内容|ドキュメンタリー映画『REALVOICE』の上映とトークセッション
主催|みやぎ里親支援センターけやき


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掲載年月/2024.09

  

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