ままぱれ

さあ、探検の始まりだ。一歩外に飛び出して、仲間と世界を広げよう。

ままぱれ5月号で取り上げた高校の家庭科が「生きる力」を身に付けるものなら、生活科と総合的な学習の時間は、幼児期の学びと小学校教育を、そして学校・地域・家庭と自分の周りの世界を繋ぐもの。

子どもたちを長年導き、現場の経験を学生に伝えている先生にお話をうかがいました。

早期退職して宮城教育大学の先生になられた理由は。

私は、宮教大に勤務するまで仙台市の小学校に勤務していました。勤務校では、毎年、教育実習生と授業づくりや学級づくりについてお話する機会がたくさんありました。お話をする度、教育実習生のひたむきさや、まじめさに感心させられました。そうした経験から先生になりたい学生を育てたいという思いが強くなったように思います。そのような時に、宮教大の生活科の教員採用公募を知り挑戦してみようと思いました。

大学では、生活科と総合的な学習の時間の授業づくりなどを教えています。授業づくりの原理を学ぶことに加え、学校現場を知ることや、子どもたちを知ることを大事にしています。私の現場の体験を加えながら、指導方法や大事なポイントを身に付けてもらえるように授業を行っています。小学校1・2年生が学ぶ生活科は、学校生活や地域、自然や人との関わりを通して、その体験的な学習から生活上必要な習慣や知識を身に付ける教科です。また、子どもたちが指示待ちではなく主体的に動くよう、先生が促したり、支援したりすることが大切です。主体的に学ぶことは、実生活にも活きていきます。子どもたちが自分で考え、成長していく姿を見ると、授業づくりは大変ではありますが、先生になってよかったと実感します。

どちらの教科も指導が難しそうですね。

学生には、授業力を高めるために、子どもが主体的に学ぶ授業をたくさん見に行くようアドバイスしています。ちょうど6月末に山形県で、日本生活科・総合的学習教育学会の全国大会が開催されます。そういった場で学びを自走する子どもたちの授業を見て、自分が目標とする授業、子どもたちの姿を目に焼き付けることが大切です。

私のゼミには、自分が先生になった時に役立つことを学びたいと思っている23人の学生が所属しています。専門知識だけではなく、現場のことも知って現場に出たいという思いがあります。ゼミは、生活科グループ、総合的な学習の時間のグループ、幼小連携グループに分かれて行っています。それぞれのグループで週に1回ずつゼミを行っていますが、毎月1回、3つのグループ合同で全体会を行い、各自の学びを発表し合って大切なことを共有しています。

私のゼミ生は、これまで仙台市内の小学校で数多くの授業を参観させていただいたり、たくさんの子どもと触れ合う機会を設けさせていただいたりしてきました。学生は、そうした経験の中で、発見したことや感動したことを述べ、先生になりたいという気持ちがさらに強くなったと語ってくれています。そんな学生の姿を見て、私はとっても嬉しく思っています。
学生が生活科や総合的な学習の時間の授業づくりの力を培い、子どもたちにも力を付けられるように、これからも現場の体験を踏まえた講義やゼミの充実に努めたいと思います。

地域との連携活動はどのようなことを?

小学校で勤務していたときには、1年生の生活科「むかしあそび」で地域の方々から昔遊びを教えてもらったり、一緒に遊んでもらったりしました。2年生の生活科「ぐんぐんそだて ぼく・わたしのやさい」では、地域で野菜を育てている方から野菜を育てるコツについてアドバイスをしていただいたこともありました。

先日、私が勤務していた仙台市立荒町小学校でお世話になった荒町商店街の副理事の庄子さんに大学の授業においでいただき、「学校と地域で子どもを育てるには?」について商店街と学校との協働イベントを例にお話いただきました。お話を伺った学生は、地域と学校とが協働して子どもを育てることについて、具体的なイメージをもつことができたと感想を述べていました。

今後は、地域の方々の力を得ながら、生活科や総合的な学習の時間の授業をどのようにつくっていくかについても、講義で取り上げていきたいと思います。

ままぱれ読者へのアドバイス

お子さんと一緒に何かに夢中になって、一緒にできるものをたくさん見つけて、そういう経験をするのが一番なのではないかと思います。習い事も「これをやりなさい」ではなく、お子さんが興味を持っていること、楽しいと感じていることを見極めて、見守ったり支援できればいいですね。でも、私は仕事が多忙でしたので、娘との時間が十分にとれませんでした。娘と同じ学年を担任したり、運動会が重なったりすると、私は一体何をやっているのだろうと落ち込んだ時期もありました。仕事は楽しかったけれど、もう少し手を抜いて、なぜもっと娘に寄り添えなかったのだろうとも思いますが、その時に仕事を頑張っていなければここにはいなかったと思うので、娘にはごめんねという気持ちです。娘は先生には絶対になりたくないと言っていたはずなのに、今はスクールカウンセラーをしていて、私も時々自分が受け持った子どもの相談に乗ってもらっていました。不思議ですね。ですから子育て中のお母さんたちは、今は大変だと思いますが、後から振り返ってもその時間は取り戻せません。私の子育てを顧みて、今のこの時間を、大切に過ごしてほしいと思います。

SERIES

絵本といっしょに
コラム
ぱれまるの部屋
宮城教育大学
子育ての疑問質問
レシピ
ままぱれぽーと
プレゼント