ままぱれ

戦争などのニュースで不安になっている子どもとどう接すればよい?

テレビをつければ戦争やコロナのニュース、そこに夜中に地震が起こったりして、大人でも気が休まりません。
年長と小学3年生の子どもたちから「なぜ戦争をするの?」と聞かれ、テレビの中の同じ世代の子どもたちを自分と重ねるのか、落ち着きがなくなっているようです。
どう接してあげればいいのでしょうか。

戦争などのニュースで不安になっている子どもとどう接すればよい?



 ご質問にあるように、新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、宮城県や福島県などでは大きな地震や余震が起こり、さらには海外では戦争と、これまで私たちが経験したことがないようなできごとが続いていますね。特にウクライナ情勢の緊迫化に伴い、それに対する報道を目にすることも増えました。大人でも心がザワザワする状況であることを踏まえると、子どもたちが落ち着かなくなるのも無理はありません。

 さて、子どもたちとの接し方についてのご質問ですね。まず大切になるのは、お子さんが戦争について話をしたい、落ち着かないという気持ちを否定せず、そのまま受け止め、ゆっくり話を聞くということです。そうすることで、子どもたちは自分が受け入れられたと感じ、安心感が生まれてきます。どのように話をしていけばいいのかという点については、ユニセフの「子どもとの対話のヒント(※1)」、セーブ・ザ・チルドレンの「専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント(※2)」が参考になるでしょう。誌面の都合上、前者の概要のみを紹介しますが、どちらにも大切なことが書いてあります。この中では「子どもが何を知っていて、どう感じているかを知りましょう」「落ち着いて、年齢に応じた対応を」「偏見や差別ではなく、思いやりを広げましょう」「支え合う行動に注目しましょう」「会話を終えるときは丁寧に」「見守り続けましょう」「ニュースに触れすぎていませんか?」「自分のことも大切に」などが提案されています。それぞれの項目に沿った、とても具体的で分かりやすい内容となっていますので、ぜひご覧ください。また、小さな子どもたちですと、一時的に爪かみ、指しゃぶり、お漏らしといった様子が見受けられることもあるかもしれません。その時には、叱ったり、無理にやめさせたりせず、その状況に合わせた対応をしながら優しく見守ってあげてほしいと思います。

 さらに、先の「子どもとの対話のヒント」においては、「大人の心も落ち着いていることが大切」と言及されています。大人たちの不安は子どもたちに伝わっていくという側面もあるのですね。報道や映像を見たりすることによって、私たち親世代の心の中に不安や悲しみ、戸惑いが生まれることもあるでしょう。そのような時には、たとえ大人であったとしても、湧きあがってくる気持ちを封じ込めることなく、手当てをしていけるといいですね。たとえばご夫婦や気のおけないお友達同士で、率直に話をしたり、心配だという気持ちを共有したりという機会をつくる、リラックスする時間をつくるということだけでも、ずいぶんと安心感が得られるものです。

 この戦争がいつまで続くのか、今後どのような経過をたどっていくのか、先を見通すことも難しい状況が続いています。その中で、大人であっても子どもであっても、同じ時代に生きる仲間として、共に平和を祈り、つながっていくというのはいかがでしょう。そして、そのようなみんなの祈りがいつか届くことを願ってやみません。

(※1)ユニセフ「子どもとの対話のヒント-紛争のニュースで感じる不安 否定せず、寄り添って」
(※2)セーブ・ザ・チルドレン「専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント」


POINT!
お子さんが戦争について思うことを否定せず、そのまま受け止めて話を聞いてあげましょう。
大人の不安は子どもにも伝わります。大人同士でも気持ちを共有し、安心感を得ることも大切です。


アドバイスをいただいたのは…
下山田 鮎美 先生

山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。現東北福祉大学健康科学部准教授。
2児の母であり、当事者としての視点を大切にしながら子育て支援の活動を行っている。博士(都市科学)。



  

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