休み明け、子どもが不登校にならないようにするには?
小学2年生の娘は、今年のゴールデンウィーク明けにちょっと学校に行きたがりませんでした。
いじめられているというわけでもなく、1日だけお休みして行けるようになったのですが、また夏休み明けにそうなるのではないか心配です。
新学期にスムーズに学校に通える夏休みの過ごしかたを教えてください
昨日まで何事もなく学校に通っていたのに、突然、「学校に行きたくない」と言われると、何事かととても戸惑ってしまいますよね。
登校しぶりの理由として、真っ先にいじめが連想されるかと思いますが、実は、厚生労働省の調査によると、小学生の不登校の主たる要因は、46.3%が「無気力、不安」で、「いじめ」は0.3%、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」も6.7%にとどまっています ※1)。「不安」の内容については、子ども自身も明確に「これ」と説明できれば、少し気持ちが軽くなるかもしれませんが、「うまく説明できない」「なんとなく不安」といったものも少なくありません。ここでもし、親が子どものこうした気持ちを受け止めることなく、とにかく学校に行かせることだけを優先したり、「さぼり」「怠けている」「ずる休み」といった言葉をかけたりしてしまうと、子どもは周りの人に自分の気持ちを理解してもらえない上に「悪い子」呼ばわりされてしまうという、二重三重の苦しみを抱え、心を閉ざしてしまいかねません。そのため、まずは、子どもはこれから様々な新しい出来事に挑む存在であり、それを通り過ぎてきた大人にとっては他愛のないことでも、決して軽んじることなく、子どもの成長過程は見えない緊張や不安の連続であることを改めて理解しておく必要があります。
そうした意味で、前回、相談者さんがお子さんを1日休ませてあげたのは賢明なご判断だったと思います。お子さんも、「お母さんが私の気持ちを受け止めてくれた」と安心なさったのではないかと思います。相談者さんの中には、この先益々休むようになってしまったら…というご心配もあったのではないかと思いますが、よくご決断されましたね。お子さんが不安や緊張で立ち止まってしまった時に、たとえすぐに理由がはっきりしなくても、お子さんの気持ちにまずはじっくり耳を傾け向き合い、お子さんがどうしたいかを一緒に考えることが大切です。お子さんが「一人で悩まなくていいんだ」と、安心して不安に向き合えるようになるためにも、夏休みの間は、今まで以上にお子さんとの何気ない時間や対話を大事になさってみてはいかがでしょうか。お子さんが1学期に学校や家庭で頑張ったこと、成長したことを言葉で伝えてあげたり、時には、相談者さん自身が小学生だった頃のお話を失敗談や解決策も交えてお話ししたりするのも良いでしょう。何があっても大丈夫、力になるよ、ということを言葉や態度でたくさん伝えてみてください。
また、登校しぶりの場合、中には、当たり前に登校できなくなった自分に対し、「ダメな人間になってしまった」と感じてしまうお子さんもいらっしゃいます。そうした場合、大切なのは「普通」ではなく「あなたらしさ」であることを伝えてみましょう。保護者としては、もどかしさや将来の不安もあるかと思いますが、「通えない」ことで一番苦しんでいるのは、お子さん自身です。仮に通うことが難しいことがあってもお子さんを否定せずに、「お子さんらしさ」やお子さんの良い所をたくさん見つけて、それを応援してあげることが重要です。夏休み中は、お子さんにとって居心地の良い時間、空間を大切にしながら、親子でたくさんお子さんの「良い所」探しをしてみましょう。そして、「私は大丈夫」「かけがえのない存在なんだ」という自信と安心感がお子さんの心にたくさん湧いてくるように、サポートなさってみてくださいね。
【参考文献】
(※1) 厚生労働省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
アドバイスをいただいたのは…
高野 亜紀子 先生
青森県出身。専門は子ども学。社会福祉士。現東北福祉大学総合福祉学部講師。
2児の母としての経験を生かしながら、子育て支援、保護者支援、保育者養成に関する実践・研究活動を行っている。
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