子どもがかかりやすい病気について
子どもたちの病気についてですが、これからの季節、カゼやインフルエンザが流行すると思いますので、感染症や子どもがかかりやすい病気、また、感染症にかかった際の対処法などを教えてください。
今回の冬は、例年より早くインフルエンザが流行しはじめましたね。
冬は低温・乾燥を好むウイルスにとって、長く生きることができる環境になります。一方、人の体は、体温が低くなると、免疫力が低くなってきます。また、夏に比べて水分をとる量が減り体の中が乾燥しやすいため、のどや気管支、鼻の粘膜が乾きやすく、傷みやすくなります。そのため、体の中にウイルスが入りやすく、感染症になりやすくなります。
冬の時期にお子さんがかかりやすい感染症として、咳や鼻水・鼻づまりなどを引き起こすRSウイルス感染症、発熱やのどの痛みなどが出る溶連菌感染症、高熱や関節の痛みなどを引き起こすインフルエンザ、嘔吐や下痢が症状として出るノロウイルス・ロタウイルス感染症、などが挙げられます。
感染症にかかってしまった時の対処法ですが、冬に流行する主な感染症のうち、特効薬があるのはインフルエンザになります。他の感染症は症状をやわらげるお薬を飲んで、出ている症状をやわらげることになります。咳や鼻づまり・鼻水が出ている場合は、水分を多めにとり、部屋の湿度を少し高める(湿度が50~60%が目安になります)と楽になります。寝ると咳が出る場合は、横向きで寝る、頭の方を少し高くすると、楽になるかと思います。また、熱の出始めは寒気がすることが多いので、お布団や衣服で体をあたたかくし、発熱で苦しそうな場合は、首のつけねやわきの下などを冷やすといいですね。
ノロウイルスやロタウイルス感染症での下痢・嘔吐は、ウイルスを外に出す必要がありますので、吐き気がおさまるまでは、無理に食事をとらなくて大丈夫です。ただ、脱水に気をつける必要があるため、水分をとるようにしましょう。水分をとる時に、吐いた直後はやめる、1回の量を控えめにする、乳製品やかんきつ系の飲み物を控える、飲み物の温度を人肌と同じくらいにぬるめにすると吐き気が出にくくなります。症状が治まり、食事をしたいと感じられるようになったら、消化のよい温かい食べ物から食べ始めます。やわらかく煮たお粥や素うどん、ニンジンやさつまいも、カボチャなどを柔らかく煮たスープなどが良いかと思います。徐々に食欲がわいてきたら、たんぱく質をとっていきましょう。豆腐や卵、白身魚やササミなどをやわらかく煮たものが良いでしょう。お子さんが食事を食べたがらないときは、プリンやヨーグルトなどもおすすめです。
お子さんを看病する際、次のようなことができると親御さんが感染症になりにくいかと思います。感染症になったお子さんを別の部屋で看病する、症状のあるお子さん・看病する親御さん共にマスクをする、症状のあるお子さんが触れたドアノブなどをアルコールで消毒する(ロタウイルスとノロウイルスの時は塩素系の消毒剤で)、オムツを使っている場合は厳重にビニールに入れて捨てる、看病した後に手洗いを行うなどです。お子さんが小さいと別の部屋で看病することが難しいと思いますので、できることをしていただければと思います。
POINT!
冬は低温・乾燥を好むウイルスが長く生きられる環境になります。お子さんが感染症にかかったら、他の人と接触を減らすように別室で看病し、看病後に手を洗うなど、できることから気をつけましょう。
アドバイスをいただいたのは…
渥美 綾子 先生
山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。
保健師の経験を経て、看護師・保健師の教育に携わるようになる。現東北福祉大学健康科学部講師、同次世代育成支援室母子保健部、保健師。
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