マスクで肌荒れしてしまう子どもへの対処法は?
この4月に小学生になった娘は元々肌が弱く、昨年の夏もだったのですが、蒸れや肌荒れでこの時期マスクをさせるのがとても大変です。
かといって学校でマスクを外しているわけにもいかず…。できるだけ辛くならないマスクや、スキンケアの方法を教えてください。
7月に入り、気温が高い日が増えてきましたね。夏場のマスクは大人でも息苦しさを感じますので、お子さんが蒸れや肌荒れを辛く感じるという状況はとてもよく分かります。
さて、できるだけ辛くならないようにマスクを使うためには、「マスクをつける場面」と「つけるマスクの種類」に目を向けてみましょう。すでにご存じかもしれませんが、マスクは飛沫による感染を予防するためのものです。会話によって飛沫がとぶ距離は、およそ1~2m程度といわれていますので、例えば、お子さんが道路を歩いていて、近くには誰もいないというような状況であれば、マスクをつけていても意味はないということになります。夏場は、熱中症を予防することが重要であり、特にマスクをつけっぱなしにしていると、体の水分が不足していることを感じにくくなるといわれています。そのため、換気が良く人との距離がある場面ではマスクを外すこと、こまめに水分をとることが推奨されています。学校ですと一人だけマスクを外すというのは難しいかもしれませんが、日常生活の場面においては可能な場面もあるように思いますので、どうぞ念頭においてみてください。
次に、マスクの種類についてですが、現在推奨されている不織布マスクにも、様々なタイプのものがあります。そもそも、マスクは肌に触れますし、その内部は湿気がこもりやすくなっています。たとえば、マスクの中には、中央部分にワイヤーが入っているものがありますが、そのようなもので空間がつくられていると、肌との距離が生まれ、いくらか息苦しさが緩和されます。また、マスクによっては、パッケージに規格基準というものが記載されている場合があります(記載されていない場合もあります)。呼吸のしやすさの指標としては、「呼気抵抗」というものがあり、通気性が優れていることをうたっているマスクですと、その値が<4.0~4.5程度になっているようです。医療用マスクの一番低いレベルの値が<5.0ですので、通気性があがるとマスクそのものの性能が下がるということではありますが、夏場にお子さんがつけるマスクであることを考えると、通気性も大切です。現在は、感染予防の機能を下げず、通気性を確保するための工夫がされているマスクも販売されていますので、マスク売り場でご覧になってみてください。
また、ご質問にもあるようにマスク生活においては、スキンケアも大切ですね。マスク内の湿気が多い環境では、細菌や雑菌が繁殖しやすいです。また、一見湿気が多いとお肌も潤っていると思いがちですが、実は逆で、マスクを外すと湿気が蒸発するため、お肌は乾燥しやすいといわれています。そして、乾燥していると皮膚のバリア機能がうまく働かなくなるため、皮膚のトラブルが起こりやすくなります。そうすると、さらにマスクのちょっとした刺激にもお肌が敏感に反応するようになってしまいます。これらのことを念頭におくと、大切なのは、お肌を清潔に保ち、保湿を行うことの2点ということになります。特別なケアではないかもしれませんが、帰宅後、マスクをとった後に、洗顔料をしっかり泡立てて優しく洗うこと、お子さんでも使用できる化粧水や乳液で保湿することをお勧めします。それ以外に、マスクの刺激を和らげるために、マスクとお肌の間に折りたたんだガーゼを挟むという方法が提案される場合もありますが、ガーゼ自体が湿ったまま・汚れたままになっていないかご注意くださいね。
これまで、いくつか提案してみましたが、いろいろと試してみても、肌荒れが回復しない場合もあるかと思います。状態がひどい場合は、どうぞ皮膚科を受診してください。お子さんのお肌の状態に合わせたスキンケアの方法を教えていただけると思いますよ。
POINT!
「マスクをつける場面」と「つけるマスクの種類」に目を向けましょう。また、スキンケアにおいてはお肌を清潔に保ち、保湿を行うことが大切です。それでも回復しない場合は皮膚科に相談してみてはどうでしょうか。
アドバイスをいただいたのは…
下山田 鮎美 先生
山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。
現東北福祉大学健康科学部准教授。2児の母であり、当事者としての視点を大切にしながら子育て支援の活動を行っている。博士(都市科学)。
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