5歳の息子が急に怖がりになり、いじめられないか心配です
世の中はおばけの絵本や鬼が出てくるアニメで溢れていますが、5歳になる息子が最近になって急に怖がりになりました。
暗い部屋には一人で行けないし、夜のトイレも「付いてきて…」と頼んできます。
あんまりビクビクすると、お友だちに弱虫といじめられないか心配です。どうしたら治るでしょうか。
わが国には様々な伝統行事があり、近年ではアニメ等の中にも「妖怪」や「鬼」が登場していますね。中にはユーモラスかつ愛らしいものもありますが、姿やストーリーによっては、大人であっても恐ろしい、悲しいといった感情が生まれてしまうことがあります。
さて、5歳のお子さんが「おばけ」や「鬼」を急に怖がるようになったのですね。ちょうど、これまで怖くなかったものやことが急に怖くなる感情が起きやすいのが、この5歳という時期だといわれています。お子さんによっては、「クモ」や「ヘビ」等といった実在する生物も対象となります。そしてこのような恐怖心には、心が育ってきたことにより、頭の中に具体的なイメージを描くことができるようになったこと、そしてそれらに対する感情が関係しています。5歳にもなると、現実の世界の中に「鬼」がいるわけではないということ自体は理解できるようになります。しかし、なんらかのきっかけで、これらと怖いという感情が結び付くと、“分かってはいるけど怖い”という状況が生まれ、場合によっては、他に拡大していくことがあります。質問の中にある「暗闇」や「トイレ」等がその例です。
このような場合の対応について、いくつか提案したいと思います。まずは、一緒に過ごす親御さん自身の中に、もし「怖がる=弱虫」という考えが生まれているようであれば、それをいったん脇に寄せることをおすすめします。対象が何であろうとも、お子さんにとって“怖いものは怖い”のだと思います。それを受け入れることで、お子さんへの対応が考えやすくなります。
次に、怖いという感情と「鬼」のような対象との結びつきが強まるような言動はできるだけ控えるのがよいでしょう。たとえば、親御さんも一緒に見ながら「怖い怖い…」と怯えてみたり、それらの対象をしつけに使ってみたりするのは避けるということです。また、親としては、お子さんのことを心配するがゆえ、つい怖がりすぎるといじめられるのではという懸念を抱いてしまいます。しかし、“怖い”と“いじめられる”が結び付いてしまうと、逆にそのような気持ちを押し殺してしまったり、逃げ場を無くしたりし、その結果、かえってお子さんの怖いという気持ちが強まる可能性もあるため、「いじめられるから」とか「情けない」というような言葉がけは控えていけるといいですね。
最後に、もしお子さんが「怖い」と訴える場合は、それが和らぐようなサポートをしてあげましょう。「怖いんだね」と受け止めてあげると、お子さんは安心すると思います。怖がる対象がはっきりしているようであれば、それらを遠ざけることが必要になる場合もあります。たとえば、絵本をしまう、アニメは見ない等の対応ですね。また、お子さんの訴えを聞きながら、自分で大丈夫と思えるようになる環境をつくってあげることも大切です。暗闇が怖いようであれば、少しあかりをつけ、一緒に付き添ってあげるといいですね。怖くなかった、大丈夫だったという経験を積んでいきながら、少しずつサポートを減らしていくことで、いつの間にか怖がる気持ちがおさまってくると思いますよ。
アドバイスをいただいたのは…
下山田 鮎美 先生
山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。現東北福祉大学健康科学部准教授。
2児の母であり、当事者としての視点を大切にしながら子育て支援の活動を行っている。博士(都市科学)。
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