幼稚園年長の子どもに「死ぬって何？」と聞かれたとき、どう教えたらいい？
義母が病気で亡くなりました。同じ市内で暮らしていて、私の娘（年長）をとても可愛がってくれました。
お葬式の後から「死ぬってどういうこと？」「お父さんやお母さんも死んじゃうの？」と娘に聞かれ、大好きだったお化けの絵本も読まなくなりました。
「死」というものを子どもにどう教えたらいいのでしょうか。
身近な方が亡くなってしまった時は、私たち大人でもショックを受け、混乱してしまうものです。そのような死というものを、子どもたちにどう教えていくかというご質問です。とてもデリケートで難しい問題ですが、考えてみましょう。
まず、年長さんであれば、おそらくすでに、お子さんなりに「死」というイメージは持っているのではないかと予想できます。飼っていたペットや採集してきた昆虫が死んでしまったり、という経験もたくさんしてきたと思いますし、絵本やアニメの中でも「カニのお母さんが柿をぶつけられて死んでしまった」り、「悪だぬきはぶくぶく沈んで死んでしまった」り、鬼と戦うアニメのキャラクターたちも…です。そんなさまざまな経験を通して、子どもたちはある程度は死とはどういうことかはわかっていると思います。
そのような死を、改めてどうお子さんに伝えるか、については、おそらく正解はありません。「天国に行く」「お星さまになる」「遠いところに行く」など、お子さんの年齢やご家庭の考え方によっていろいろな表現はありますが、私たち大人も、多くの人は「死とはこういうこと」と改めて教えられたことはない人が多いのではないでしょうか。
むしろ、言葉で説明するよりも私たち大人が身近な死とどう向き合っているか、を子どもたちに見せてあげることによって、なんとなく伝わっていくものだと思います。例えば、お仏壇やお墓に線香を立てて「おばあちゃん、お参りにきたよ」という姿を見せていれば、お子さんは「よくわからないけど、おばあちゃんはいなくなっちゃったけど、お仏壇やお墓にいるんだ…」という、不思議な感覚で死を理解できるようになっていくと思います。このように、教えるというよりも、伝えていくという表現があっているかもしれませんね。
実際に身近な方が亡くなってしまうと、それを受け止めることが難しいのは大人も子どもたちも同じです…。おそらくお子さんは、お父さんやお母さんもいつかは死んでしまうこと、自分もいつかは死んでしまうことはなんとなくわかっていても、急にそれが怖くなってしまったのかもしれません。死に対する姿勢や子どもへの伝え方は、それぞれのご家庭で違うと思いますが、年長さんであれば、「死ぬってどういうこと？」に対しては、あまりごまかさずに「何もできなくなって、何もわからなくなって、体もなくなっちゃうことだよ」でもいいかもしれません。「お父さんやお母さんも死んじゃうの？」に対しては、「そうだよ、でも、それはあなたが大人になって、もうお父さんやお母さんの手伝いが必要じゃなくなってからだよ」「そのころには、あなたは私に向かって、あれ、まだお迎えがこないの？って冗談を言ってるかもよ（笑）」なども考えられますね。
今は大好きだったお化けの本も読まなくなったとのことですが、お子さんが、今は読みたくないと思っているわけですから、すぐに何とかしよう、とは考えなくていいと思います。時間がたって落ち着いてくると、また読み始めると思います。もしもお子さんが、死ということについて疑問や不安を訴えた時には、十分に話を聞いてあげてください。そして、おばあちゃんの思い出話をしながら一緒に泣いたり笑ったりする…、そして一緒にお墓参りに行って手を合わせる…、それがお父さんやお母さんにしかできない死の伝え方だと思います。
POINT!
身近な方が亡くなってしまうと、それを受け止めることが難しいのは大人も子どもたちも同じです。思い出話をしながら一緒に泣いたり笑ったり、お墓参りに行って手を合わせることが、親にしかできない死の伝え方だと思います。
アドバイスをいただいたのは…
佐藤 俊人 先生
宮城県出身。専門は発達心理学。
自治体の子育て支援活動を行っている。
何歳になっても「子どもに成長させられている親」でもある臨床心理士。
現東北福祉大学総合福祉学部准教授。
掲載年月／2024.09
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