4歳児の「お口ポカン」。このまま放っておいても大丈夫なの?
4歳の娘の「お口ポカン」が気になっています。
以前はそんなことはなかったのですが、最近になってテレビなどを見ているときにポカンとなっていることに気づきました。
口の中が乾くんじゃないかと思うのですが、成長すればまた元に戻るものでしょうか?そのままにしていても大丈夫ですか?
テレビなどを見ているときに、お子さんの口がポカンと開いていることに気づかれたのですね。口が開いていることによる体への影響、口が開いてしまう理由や対応についてお伝えしたいと思います。
口を開けたままにしておくと、口の中が乾燥し、唾液の量が減ってしまいます。その結果、虫歯菌や歯周病菌など、口の中にいる細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病になるリスクが上がったり、口臭につながったりすると言われています。また、人は鼻呼吸で鼻の粘膜や鼻毛というフィルターを通して、細菌やウイルスなどをキャッチし、くしゃみや鼻水として出すことで体を守っています。口呼吸になると、口から細菌やウイルスなどが入るため、風邪や他の感染症などになりやすくなる可能性があります。
口を閉じた状態を保つのが難しい理由として、次のようなことがあるとされています。①アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまり、鼻水の症状がある。鼻で息を吸ったり吐いたりすることが難しくなり、口呼吸となる。②舌や口周りの筋肉が弱く、口が閉じにくい。最近は柔らかい食べ物が増え食事で噛む回数が減っており、口周りの筋力が弱くなりやすい状況がある。③出っ歯(上顎前突)や受け口など歯並びが影響している。歯並びなどにより口が閉じづらいことがある。④鼻、口周りの筋肉に問題がないものの、テレビを見るなど集中すると口呼吸が癖になってしまっている。
口呼吸は、自然に鼻呼吸に戻ることは少ないとされていますので、次のような対応を考えていくことをお勧めします。慢性的な鼻詰まり、アレルギー性鼻炎などがありそうな場合は、耳鼻咽喉科などの専門医を受診しましょう。アレルギー性鼻炎は慢性化しやすいため、口呼吸が習慣になる前に治療することが大切です。口周りの筋肉が弱まっている場合には、遊びの中に風船を膨らませることを取り入れてみましょう。風船を膨らませるには唇や頬の筋肉を結構使います。また、「あいうべ体操」という唇や舌の筋肉を鍛えるトレーニングがあります。⑴「あー」と発声しながら、口を大きく開けます。⑵「いー」と発声しながら、口を横に大きく広げます。⑶「うー」と発声しながら、口を強く前に突き出します。⑷「ベー」と発声しながら、舌を下に向けて突き出します。これを1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けることで口周りの筋肉が強化され、改善につながる可能性があります。歯並びについては歯科を受診し、診察してもらいましょう。耳鼻咽喉科や歯科を受診し、鼻の病気や歯並びに問題がないものの、口呼吸が癖になっている場合には、意識して鼻呼吸をできるように何度も優しく声をかける、ドラッグストア等で売られている「子ども用の鼻呼吸テープ」を使用するなどして、鼻呼吸ができるようにしていきます。鼻呼吸テープとは、就寝中に口に貼って鼻呼吸を促すものになります。お子さんのお口ポカンの理由をみつけ、対応していけるとよいですね。
POINT!
口呼吸は虫歯や歯周病になるリスクが上がったり、感染症などになりやすくなる可能性があります。自然に鼻呼吸に戻ることは少ないとされていますので、お子さんのお口ポカンの理由を見つけ、それに合った対応を考えましょう。
アドバイスをいただいたのは…
渥美 綾子 先生
山形県出身。専門は公衆衛生看護学。看護師・保健師。
保健師の経験を経て、看護師・保健師の教育に携わるようになる。
現東北福祉大学健康科学部准教授。
掲載年月/2024.10
関連記事
子育ての悩みを相談したい方はこちらから