娘のお世話をしてくれる義両親に、「孫を甘やかし過ぎ」とは言いづらい…。
共働きで夫婦共に帰宅が遅くなるとき、近くに住む夫の両親に5歳の娘の幼稚園のお迎えと預かりをお願いしているのですが、孫可愛さに甘やかし過ぎて、お菓子やおもちゃをたくさん買い与えるので困っています。
お世話になっているので言いにくいのですが、甘やかし過ぎを防止する方法や伝え方を教えてください。
義理のご両親がお子さんを甘やかして困っているというご相談です。保育園や幼稚園へのお迎えを手伝ってもらったり、日中お世話をしてもらっていたりするような場合は、同じような悩みを持つ方もたくさんいらっしゃいますね。義理のご両親の子育てとの付き合い方を考えてみましょう。
よく、子育ては周囲の大人たちが同じような基準でやったほうがいい、ということも言われますよね。そうじゃないと、この人の前ではおりこうさんに、別な人の前ではわんぱくになる…というような感じです。実際、子どもはそのように人を見て言動を変えたりしていますが、そんな経験を通していろいろな人間との付き合い方を学び、生きる知恵を身に付けていくともいえます。
よく考えると私たち大人も、甘えたり、厳しくしたり、厳しくされたり、好きになったり、相手によっていろいろ行動は変わります。もしも私の周りがみんなルールに厳しい人ばかりなら息が詰まってしまいますし、みんな甘やかしてくれる人だらけなら、甘えるばかりの人間になってしまうかもしれません。でも、いろんな人がいるから、それでバランスがとれているわけです。保育園や幼稚園ではわんぱくでも家ではおとなしい子、ママには甘えるけどパパには塩対応の子、そしてもちろんその逆の子もいます。子どもたちはそうやって、甘えることができる人とできない人を行き来しながら、自分でバランスをとれるようになっていきます。
子育てには正解はありません。お父さんお母さんの子育てと、おじいちゃんおばあちゃんの子育ては、同じでなければならないということもありません。お父さんとお母さんの考え方すらも違っているご家庭もたくさんありますよね。みんな、自分の得意なやり方でお子さんとコミュニケーションをとっているわけです。義理のご両親の子育てについて考えてみましょう。孫に甘くなってしまうというおじいちゃん、おばあちゃんの中には「孫と仲良く時間を過ごす知恵」と感じている人も多いものです。5歳の子と付き合うのは結構大変なことです。自己主張も強くなり、外では活動量も多くなる一方、家の中で過ごす時間は、動画やゲームだけになったりもします。お菓子やおもちゃを通してお孫さんとコミュニケーションをとりたくなる気持ちも理解できると思います。それで仲良く生活できているなら、お互い幸せですね。
また、義理のご両親の甘やかし（かわいがり方）を今解決したり、伝えたりする必要が本当にあるのか、冷静に考えてみましょう。甘やかしによって、今相談者さんのお子さんには、例えば「将来わがままになってしまうかもしれない心配」以外に、具体的にはどんな問題や心配ごとが起こっているでしょうか？もしも、保育園などで特にトラブルなく生活しているのであれば、お子さんにとって、そんなに悪い環境ではないのだと思います。相談者さんのお子さんが「誰からでもなんでも買ってもらえる！」と考えるようになることはないと思いますが、「おじいちゃん、おばあちゃんは特別にあなたがかわいいから、いろいろ手伝ってもくれるし、おもちゃやお菓子を買ってくれるんだよ、ありがたいよね」「買ってもらったときには、ちゃんとありがとうを言おうね」と親子で感謝の心を忘れないような働きかけもいいかもしれません。
本当に問題にしなければならないような困りごとが起こっているのだとしたら、おそらく義理のご両親も同じように心配しているかもしれません。そのときこそ「こんな困りごとが起こっているんだけど、どうしたらいいか一緒に考えてくれませんか」から始まる話し合いがいいのではないかと思います。
POINT!
子どもたちはいろいろな人間との付き合い方を学び、生きる知恵を身に付けていきます。子育ては人それぞれです。義理のご両親の甘やかしが本当に問題か冷静に考え、感謝の心を忘れないようにしたいですね。
アドバイスをいただいたのは…
佐藤 俊人 先生
宮城県出身。専門は発達心理学。自治体の子育て支援活動を行っている。
何歳になっても「子どもに成長させられている親」でもある臨床心理士。現東北福祉大学総合福祉学部准教授。
掲載年月／2024.11
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